パラレルストーリー 8話(伊藤香織)
最近、元気がない。
私と一緒にいてもつまらないのではないか、と考えていた。
香織は遠回しに聞いてみることにした。
「新一、元気ないね。何かあったの?」
新一は語ってくれた。
仕事がとても忙しいこと、香織を気遣って仕事の話は避けてくれてたこと。
私が仕事の話も知りたいと言うと、新一は話してくれた。
新一はシステムエンジニアだが、入社前はITのことはほとんど無知だった。
入社後、先輩や同期と比べ、このままではダメだと思い猛勉強した。
その結果、今年で入社5年目になるが、他の先輩や同期よりも仕事が早くできるようになった。
自分に任せられた仕事を早く終わらせると、また新しい仕事を振られる。
新一の仕事量はどんどん増えていった。
他のメンバーよりも多くの仕事をこなしていた新一は、より多くのことを学べると前向きに仕事をこなしていたが、今では普通のメンバーの3倍ほどの仕事を振られるようになっていた。
新一の疲労は蓄積されていた。
香織と会っている時に元気がなかったのは、そういう理由だった。
香織は新一が愛おしくなり、抱きしめた。
その夜、2人は結ばれた。