パラレルストーリー 11話(伊藤香織)
会社を出て家へ帰るところだった。
彼と付き合い始め、香織は最近はとても幸せな日々を過ごしていた。
信号待ちの交差点、風の香りに誘われてふと顔を上げた。
すると、コーヒーショップの2階に新一が座っていた。
最近も仕事が忙しく帰りが遅いって言ってたのになんで? と思いながら向かいの席を見ると若い女性が座って楽しそうに笑っていた。
香織より若そうだ。
自分から行動するのが苦手な香織は、その場所に行って問いただすことはできなかった。
それに問いただして今の関係が壊れてしまうのが怖かった。
香織は不安な気持ちのまま家へ帰った。
その夜、新一にメールをしようか悩んだが、メールをすることはできなかった。
一睡もできず翌日目を覚ました香織は、新一を信じる、そう決めていた。