パラレルストーリー 12話(早坂剛志)
入社して15年、システムエンジニアという仕事が自分には向いていないということは分かっていた。
新人として入社してから周りはITに詳しい奴らばかり。
俺にはITの知識で勝負することはできない。
だから周りの奴らを使い成果を出して出世してやる、早坂はそう決心していた。
だが、同期ではすでに課長になったヤツもいる。そいつはやはり仕事のできるヤツだった。
悔しい思いでいっぱいだった。
早坂は主任。チームリーダーをしていた。
このチームにはできるヤツがいる。
あいつを使って成果をだす。
プロジェクトの進捗が遅れそうなときは、必ずそいつに仕事を振った。
仕事が早い。よく使えるヤツだ。
俺のプロジェクトでは進捗遅れは許さない。
俺は出世する。
早坂の所属するイノベーション事業部は、他の事業部と比べ業績が良かった。
それは早坂のチームが利益を出し続けていたからだ。というより、現場で奮闘していたのは津田だった。
津田は早坂の無茶な仕事にも結果を出し続けていた。
俺ももうすぐ課長だな。早坂はそう思っていた。